みあです。手持ちの着物の小さなお直しがあるとき、お針の手解きをしてくださっている和裁士の先生に、祖母の付下げのお直しをお願いしていたのですが、それが手元に戻ってきました。
付下げって?
付下げとは何かを、改めて確認。日本文芸社から出版されている「あたらしい着物の教科書」(木下着物研究所)によると、付下げは、訪問着の略装。では、訪問着とは何かというと、留袖や振袖の次にあらたまった準礼装。つまり、一般の私たちにとって、留袖・振袖・喪服が冠婚葬祭の正装であって、その下に訪問着、その下に付下げという位置関係。紋の有無や、帯の種類などによって、付下げは準礼装からおしゃれ着まで使えます。
この度、お直しをお願いしていたのは、祖母の袷、一つ紋の水色の付下げ。サガラ刺繍が施されているとても可愛らしいものです。色味と刺繍の可愛らしさにひと目で「着たい」と思ったものの、これが、実は大問題の着物でした。
え?袖が切れている?
付下げは、一般的に、上前の前身頃、胸、前身頃に合わせる衽、下前の後身頃、右袖の後ろ、左袖の前に柄が置いてあるようです。
問題の付下げは、左袖の前側にある刺繍の少し下で、なぜか生地がすっぱり切られていて、おかしなことに横一線に縫われているのです。・・なんでこんなところが切れているの・・はじめから間違って切られたもの?いや、そんなもの売られるはずないよね??それとも想像もつかないけど、切って縫わないといけないような何かがあったの??それにしても、他にやり方があったんじゃ???
先生も母も私も、全員が「??」となってしまう着物だったのです。でも、この着物は着た形跡がありました。こんな袖の着物を、あの見栄坊の祖母が着ていたとは思えない。でも、確かにこの着物は、祖母が着ていたような記憶があるのです。う~~ん(´-ω-`)
まぁ、理由はどうであれ、これではちょっと不細工で着られないので、お直しできるかどうか先生にお尋ねしたのです。
「こっちをこうして、これをこうする。繰り回して、なんとかできるでしょう。」
先生、恰好いい(´▽`*)
せっかくの可愛らしい刺繍の着物なので、是非お願いします、とお預けしたのでした。
サガラ刺繍
ところで。サガラ刺繍とは、奈良時代に中国から伝わった刺繍技法のひとつのようですね。よく見ると、ポコポコした小さな玉縫いがたくさんあることがわかります。独特の立体感。
先生によると、着物の世界の他の技法と同じで、サガラ刺繍を施せる職人さんは、この国に今やどれだけいるのか・・といったところだそうです。「今は海外なんじゃない?」とのこと。
サガラ刺繍、オマエモカー。・・悲しい。一定以上の数の人たちが、着物を誂えてメンテナンスしながら着ていくのが、着物を後世に残していく最も良い方法なのだろうとは知りながら、文化として残すって簡単なことではないなぁと改めて思いました。
どこを、どうして、どうなった?
話をもとに戻して。
問題の左袖は、前の真ん中で横一線に縫い目があって、このまま袖としては使えないので、下前の前身頃と入れ替え。下前の布が、柄無しの袖としてきれいに利用されていました。「少し焼けがあるけど、付けの部分ならあまり目立たないので、大丈夫。」とのことでした。肩からかけてみると、下前に移動した刺繍は、着ると残念ながら隠れてしまうものの、考え方を変えればなんだか、「こんなところにわざと隠してあるのよ(´∀`*)ウフフ 」と言いたくなるような雰囲気です。
そして、現代の暑い時期の長さを考慮して、「胴抜きが使いやすい。」ときっぱり断言される先生に完全同意で、胴抜きに。裄丈も体の小さな祖母の丈から私の丈に直してもらいました。
それにしても、やはりいつも感嘆するのが、着物の構成の見事さ。反物を断ち、着物に仕立てられたものは、解いてつなげると、また反物の状態にすることができ、そして別のものに仕立て替えることもできる。傷んだ部分を別の部分と入れ替えたり、上下逆や裏表逆にしたり、大事に大事に長く使えるように工夫されてきたのが着物。
今回のように、「お話にならないような袖」も、うまく繰り回して、問題なく着られる一枚になりました。
さて。いつ着ますかな。
嬉しい嬉しいお直し完成。
おばあちゃん、サガラ刺繍の着物、お正月に着ることにするわね(⋈◍>◡<◍)。✧♡
どんな帯を合わせようかな。あまり目立たないけど染め抜きの一つ紋があるし、袋帯を合わせると準礼装で使える着物ですが、洒落袋にしようかな。どの帯にするかな・・。う~む(*´ω`*) ウキウキ♪
それから美術館にもこれで行こう。この冬はこの着物を何度か着ることにしよう💗
その度に帯や帯揚げや帯締めを変えて、お出かけのときには、バッグも草履も決めなくちゃ。ん~、羽織はどうしようかな。まだ行くところもはっきり決めていないし、いつ行くかもわからないのに、コーディネートだけ先に決めてしまいそう(´艸`*)
とりあえず、まずは、お正月のコーディネートを組むことにしようかな。
着物の出番が増える冬、短めの着物用コートを新しく手に入れたごきげん子猫




