銘仙の特別展へ

おしゃれ

神戸ファッション美術館

みあです。

神戸ファッション美術館へ行きました。とは言っても、5月末頃のことですが。

現在開催中の特別展「桐生正子着物コレクション 大正の夢 秘密の銘仙物語」、約60点もの銘仙が展示されているのです。

着物を着て着物を見に行こう💗

せっかく着物の特別展です。はりきって着物で行きましょう。銘仙の特別展なので、銘仙を着たいところですが、我が家に80枚以上ある着物のうち、銘仙は1枚きり・・。しかも袷なのです。いえ、まだ5月ですから袷でいいのですが、昨今の暑さを考えると、関西圏で5月末に袷を着ると救急搬送されかねません(゜-゜)

ということで、単衣です(^。^)

先だって母が着た播州木綿の単衣、近いうちに私も着たい・・と思っていたところだったので、この着物にします。今回は絹物にしたいところですが、この木綿の着物は夏までにまだ何度か着たいし・・。うん、やっぱりこれにします。躑躅色のような紫がかった濃ピンク。色が時期にぴったり。グレーの縞が入っています。私は、着物と帯揚げ以外は全て母のコーディネートとは別のものを合わせます。

襦袢はうそつき襦袢。暑いので麻の袖です。裾よけは化繊でもまだ大丈夫でしょう。(真夏に化繊の裾よけは耐えられないけれど。)半衿は、花の刺繍が一刺し入っている絽の白半衿。帯は、半巾の昼夜帯で、片面はグレーで大ぶりの蝶を散らした柄、もう片面はワインレッドで菊の柄。帯揚げは、白とピンクのぼかし。帯締めは、濃ピンクの三分紐。帯留めは、クリアビジューのついた白水引にしました。(昔祖母がプレゼントしてくれた陶土の人形のブローチを帯留めにしようかと思ったのですが、その時はなぜかいつもの収納場所に見当たらず・・)足もとは、刺繍の入った白足袋にするか迷って・・紫のレースでつま先の開いた夏靴下にしましょう。白足袋を選ばないことにした時点で、草履ではなく下駄風サンダルにすることに決めて。アクセサリーに、ブルーのレースの蝶々が左だけについたアシンメトリーなイヤリング。つばの大きな麦わら帽子。髪はふたつにまとめて垂らし、右だけにブルーの蝶々のレースモチーフをアメピンで留めました。バッグは、オレンジ色の小さな皮のポシェットを斜め掛けに。

さて。コーディネートが決まったところで帯を結びましょう。時期的に、グレーの蝶の柄のほうをメインにして結ぶことに。長尺なので、いろんな結び方ができる帯で重宝していますが、今回ははじめての結び方を試してみることにしました。「うさぎの耳がのぞいたお太鼓風」です。

いろんな動画がインターネットに投稿されています。そのうちのひとつ、前で結んで後ろへ回す方法でショート動画になっているものを参考に結んでみました。「うさぎの耳」は、手先とタレ先の角にひとつずつ作ります。それぞれ三つ山に折ってゴムで留めるとうさぎの耳に。両耳を腰紐で帯の上線に固定しておいてから、タレを腰紐に引っ掛けて内側から引き抜きます。安定してから、帯揚げを通して仮結び。タレの余った部分は、銀座結びのように帯締めを通してからパタパタと内側に折り込みました。帯締めは脇でしっかり仮結び。帯をクルリと回して、帯締めと帯揚げを整えたら、出来上がり。

ネット上にはたくさんの帯結びの関連動画が挙げられていますよね。うさぎの耳の他にも、猫の耳、某ネズミの国のキャラクターに似せた結び方もあったりして、どれもとっても可愛い(*´▽`*)

出来上がって、後ろを確認・・わーぉ、可愛い( *´艸`) 

昼夜帯ですので、うさ耳は片耳ずつ別の色が出るようにしたのが思った以上に可愛くできていました。ただ、お太鼓風とはいえ半巾ですし、少し小さめに仕上がったのがちょっと全体のバランスを考えるとマイナスといえばマイナス要素。帯結びが体に対して小さめになると、なんだかあまりスッキリ見えない・・。これはもう少し工夫する余地があるようです。

なお、この結び方はとてもしっかり安定していたので、一日中散々歩き回りましたが、なんということもなく、崩れてくることはありませんでした。

さて、展覧会です

さて、展覧会です。六甲ライナーに乗って、神戸ファッション美術館へ。

大規模な絵画の特別展のようなボリュームではありませんが、あれだけの数の銘仙を一度に見たのははじめてで、見ごたえがありました。各地の銘仙の種類・特徴の説明や、織り方の詳細、手触りまでわかるような展示でとても楽しいひと時でした。

Neo ClassicGirlishGeometricKitschのセクションに分けられており、それぞれのテーマに沿って展示されていました。市松に孔雀羽文様などの大胆な柄行は、女学生が着て歩く姿が目に浮かぶよう。南蛮船を織りだした単衣は、現在ならどういうところに着て行く?お買い物や街ブラ?映画鑑賞?友人とのお茶?小物は何を合わせる?など想像がつきません。水色地に黄色い薔薇と紅白の花唐草が織り出されたものは、目を射るような大きな黄色い薔薇が印象的で、これが似合うのはどんな人かしら?どんな髪型にする?足もとはどうする?と、これまた楽しい想像の世界へ。

一方、第2次大戦前夜の頃に作られたと考えられるものは、滑走路に零式艦上戦闘機がデザインされたものなどもあり、華やかで心浮き立つようだった銘仙の世界にまで暗い時代を映すようになっていったのを目の当たりにして衝撃でした。これを着て歩きたいと当時の人は思ったのでしょうか・・いえ、市井の人々の本音とは裏腹に時局を反映するものが作られていった頃だったのでしょうし、戦後も続いた祖父母の苦労の時代を経て、平和な日本に生まれ育った私には想像も及ばない様々な圧力が存在したことがうかがえます。厳しい戦局になる前のほんの短い期間だけ作られたものだったのかもしれないな・・と思いながら、そのいくつかの展示を見て歩きました。

着物好きさん集合

結局、約60点の展示を見て歩くのに、行ったり来たり、2時間も滞在。トルソーに着つけてあるものは、帯の後ろも見ようと首を伸ばしたり、初めて見る古い金工の帯留めなども気になる。持ってはいないけれど、「よろけ縞」の着物って、私、好きかもしれない・・と思ったり、新しい発見が多い展覧会でした(笑)

何より、着物の展覧会であるだけに、着物好きさんが集まっている・・!私が滞在していた時間帯は平日のお昼でしたが、来館者の6割方が着物姿でした。

展示されている着物だけではなく、来館されている方々がお召しの着物も素敵でした(*^-^*)

単衣に名古屋帯の方がほとんどだったようにお見受けしましたが、中でも、おひとりとても目をひく艶やかな赤の着物の方がいらっしゃいました。ショートカットの髪型がよくお似合いで。恰好良いな、と目で追ってしまいました。

こんなにたくさんの着物姿の女性と一度にすれ違うのは、長らく遠ざかっているお茶会の時以来です。でも、お茶会で目にする着物は、付下げ訪問着、一つ紋の色無地など、普段の街中で見かけるような着物とは格が違うため、いわゆるおしゃれ着、街着の着物姿をこんなに一度に・・!と嬉しくなってしまいました(≧▽≦)

着物好きさんが集まる場所って他にどこがあるかなぁ・・。歌舞伎やコンサート、展覧会ではお見かけしますが、それ以外で、着物で集まるような場所って・・?

着物のイベントを自主的に開いて集まっている様子をSNS上や着物ブログなどで目にしますが、やはりそうでもしないとなかなか一度に集まることってない。あちこちにいらっしゃるでしょうに、圧倒的に洋装が多いと、なかなかすれ違うことすらないのが寂しいようにも思います。

悩ましい羽織問題

ところで、今回、私は出掛ける前に、ショールを羽織るかどうか悩みました。

私の場合、正絹の着物には羽織を合わせて、木綿やウール着物にはショールを肩にかける程度です。

最近暑くなる時期が早く、また夏を超えても暑さが長期間に渡るため、袷の時期に単衣を選ぶことに抵抗はなくなってきていますが。カジュアルが多い私も、着物に帯丸出し・・で出かけると、帯を引っ掛けたりしないかな・・歩きながら飲食する人が多くなってしまったし知らないうちに汚れがつくのは避けたい・・とか、ある程度の年齢の私が「帯つき」「たけのこ」なのはどんなもんかなぁ・・と。都度思い悩むわけです。

今回はカジュアルな木綿でもあり、「午前中からすでに暑いし、手持ちの薄手ショールも透け感があるものではないから見ているほうも暑苦しい・・暑くて手に持ってしまうと荷物が増える上に見苦しい」と思ったので、ショールを持って出ることもしませんでした。

では、この特別展にお越しの正絹の洒落着物姿の皆さんは羽織をどうなさっていたか。

答え:ほとんど全員羽織無し。

暑い時期、街着のカジュアルシーンでは、夏羽織で涼し気に見えるならまだしも、もし見ているほうも暑苦しいような装いになるのであれば、上に羽織るものは避けても良いのでは・・?とも思います。思うんです。・・なのに、なのに、完全には振り切れない何かがこうモヤモヤと・・。うーん(/ω\)

・・カジュアル着でも帯付き姿というのは、あえて言うならば、カーディガンを着ずに袖無しのワンピースを着て街に出ているような気分・・かな。家の近所ならまだしも、街中ではなんだか落ち着かない、のです、たぶん。大人の女性としてどう見られたいか、ということなのかなー。とはいえ、今回に関しては、ショール無しで荷物も減らすという選択でよかったと思います。

洋装和装問わず、選ぶコーディネートは、自分が楽しいとか、ワクワクする、とかだけではなく、見苦しくないかどうか、という点も忘れずにいたいものです。

なお、申し添えておきますと、ご年配のおひとりの方は、紬の単衣着物に夏の羽織をお召しになっていました。キリッとしていて恰好良かったな(*´▽`*)

インターネット上の着物アカウントを覗いてみると、最近若い着物好きさんのコーディネートで化繊レースの羽織を見かけることが増えました。以前からレースの羽織はありましたが、最近のものはこれまでにないようなデザインで洋装の雰囲気も持つものも多いようですね。レースですから見た目も軽くて抜け感があります。・・涼しいかどうかはわかりませんが。銘仙や小紋などの街着に相性が良さそうです。真夏は避けても着られる期間が長そうだし、ちょっと調べてみようかな。

SNSやブログの着物アカウントをのぞくのが楽しいご機嫌子猫

タイトルとURLをコピーしました