みあです。
数年前に読んでから、すっかりファンになってしまった作家さんがいます。
高田郁さん
彼女の作品では、江戸時代~の市井の人々が日々の暮らしを送る様子が繊細に描かれています。
はじめて読んだのは、みをつくし料理帖シリーズでした。
描かれている人間模様、料理の数々、ライバルの店とのやり取り、主人公の未熟な恋の行方、苦界に身をおくことになった聡明な友・・そして・・
江戸の庶民のお話は多くありますが、特に女性の立場を描いたものは、なんとも胸の塞ぐような気分になるものも多いのですが。。高田作品は、読むと勇気や希望を持てるような、あたたかい幸せを感じるような、とても魅力的な小説です。
このシリーズを読み終わり、すっかり高田作品の虜になった私は、他の作品も次々と読むようになりました。
そして。出会ってしまいました。
あきない世傳金と銀
これには、それこそたっぷりと着物のお話が出てきます。なにせ、大阪の呉服商に女中奉公に入った女の子が、いろんな障害はあれども、周りを巻き込み、周りに認められ、商いの才能を開花させていくお話。女中さんから、後にその店の御寮さんとなり、女名前禁止の掟がある大阪の商家でどのように商いを大きくしていくのか・・という、これまた「ちむどんどんする」話です( *´艸`)
私は、大学時代、明治時代の夫婦財産制を専攻として研究していたこともあり、それに付随して、法の世界における日本の戸主制度、戸主である夫に先立たれた女性が家を守るために女戸主として存在が許されていたこと、などの知識はあるのですが、大阪の商家にこれまた独特の掟として、女名前禁止というものがあったことなど、未知で興味深い話がいくつも出てきました。
この、女名前禁止について主に研究された論文などは読んでいないのですが、かつて私が読み漁った論文資料のどこかにちらりと出ていたりするかもしれません。久しぶりに資料をひっくり返して読んでみようかしら・・と思ったりしています。
さて。着物です。
この小説は、呉服商に女中奉公にきた女の子が、成長して呉服商の御寮さんとして商いを大きくしていくお話ですから、蚕、糸、生地、染め、型、柔らか物、太物、掛け売り、担ぎ呉服、仕立て、くじら帯、お針・・着物ワードがそれこそワンサカ出てきます(^^)
掛け売りの仕組み、型紙の産地や職人、羽二重の生産、織り子、男仕立て・・
着物がどのように変化していったのか、人々がどのように着物を手に取っていたのか、はじめて知った「店先現金売り」という言葉と呉服商の立ち位置・・など、とても面白く読みました。
このシリーズは高田作品の中でも最新シリーズで、実は私もまだ最新刊は読んでいません。この先がどうなるのかとても楽しみです。
高田作品を読むと何でもできるような気になるごきげん子猫